呼吸器外科

ほほえみ[2021 年 夏号]vol.101

福岡徳洲会病院 副院長
呼吸器外科部長 栁澤 純

喫煙者は特に注意!肺がんについて

厚生労働省「人口動態統計月報年計(概数)の概況」(令和元年2019)によると、2019年に日本で亡くなったのは138万1098人であり、「悪性新生物(がん)」の死亡数は37万6392人で全死亡者数の27.3%で死因の第1位となっています。がんの中でも肺がんでお亡くなりになった人が7万5394人(男性1位、女性2位)と最も多いものとなっています。
肺がんは、日本全国で1年間に約12万5000人が診断され、男性に多い傾向にあり60歳を超えると増加し始め高齢になるほど多くなります。

1.発生要因

肺がんは気管支や肺胞の細胞が何らかの原因によりがん化したもので、早期には肺の中にとどまっていますが、進行すると血液やリンパ液の流れにのって他臓器に転移することもあります。肺がんの危険因子の一つとして喫煙があげられます。喫煙者は非喫煙者と比べて男性で4.4倍、女性では2.8倍肺がんになりやすく、喫煙量が多いほどリスクが高まるとされています。

2.組織型による分類

肺がんにはいくつか種類がありますが、「非小細胞肺がん」と「小細胞肺がん」の2つに分けられます。大多数を占めているのは「非小細胞肺がん」で、これはさらに「腺がん」、「扁平上皮がん」、「大細胞がん」に分類されます。中でも最も多いのが「腺がん」で6割を占めます。

3.症状について

肺がんに特徴的な症状というものはありません。特に早期の肺がんでは症状がでることはほとんどなく、進行するに伴い持続する咳や血液混じりの痰、胸の痛み、息苦しさなどの症状がみられるようになります。このような症状は肺炎や肺気腫などの病気でも起きることがあり、症状だけでは判断できませんので医療機関を受診するようにしましょう。

4.検査について

持続する咳や息苦しさ、血痰などの自覚症状があれば胸部エックス線写真や胸部CT検査が行われます。健康診断やがん検診などの胸部エックス線写真で肺がんを疑われた場合も胸部CTが行われます。画像上の特徴から肺がんかどうかはある程度推測できますが、診断確定のためには痰を採取しての細胞診や気管支鏡検査による細胞診が必要になります。しかし、肺がんの場合細胞や組織採取が困難なことも多く、その場合は手術で診断をつけることも少なくありません。

肺がんでも他の肺がんと同様に進行度分類(ステージ分類)で治療方針が決定します。腫瘍の大きさや周囲への拡がり、リンパ節に転移しているかどうか、他の臓器に転移しているかどうかでステージが決まります。ステージⅡまでは手術が、ステージⅢより進行していると化学療法(抗がん剤)や放射線療法となります。ステージⅢのうち、ⅢAは個別に検討し場合によっては手術が行われることもあります。

5.手術について

ステージⅠやステージⅡの非小細胞肺がん、ステージⅠの小細胞肺がんでは手術の適応になります。肺がんに対する手術は肺葉切除と縦隔リンパ節郭清が標準ですが、体の状態次第では体の負担を軽減するために縮小手術(区域切除や部分切除)が行われることもあります。現在は腹腔鏡を用いた手術が主流であり、当院でもステージⅠであれば胸腔鏡下肺葉切除が行われます。また2019年12月からは、いわゆるダヴィンチ手術とよばれるロボット支援下肺葉切除も行っており、着実に実績を重ねております。

肺がんでも他の肺がんと同様に進行度分類(ステージ分類)で治療方針が決定します。腫瘍の大きさや周囲への拡がり、リンパ節に転移しているかどうか、他の臓器に転移しているかどうかでステージが決まります。ステージⅡまでは手術が、ステージⅢより進行していると化学療法(抗がん剤)や放射線療法となります。ステージⅢのうち、ⅢAは個別に検討し場合によっては手術が行われることもあります。

6.手術後の通院

手術で肺がんを切除しても、残念ながら再発する方も一定の割合でいらっしゃいますので、再発や転移を早期にみつけるためにも定期的に検査を行い、最低でも5年間の通院が必要になります。再発となった場合は主に抗がん剤治療が行われますが、再発した部分や数によっては手術や放射線治療が行われることもあります。現在は分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤などの効果の高い薬剤もあり、以前に比べ治療成績は向上しています。

7.最後に

肺がんは病気になる人数は大腸がんや胃がんほど多くはありませんが、肺がんでお亡くなりになる人数は男女の合計で1位となっています。これは見つかったときには進行していることが多いことが一つの要因です。早期で見つけることができれば根治手術が期待できます。40歳以上の方は1年に1回、肺がん検診を受けるようにしましょう。さらに人間ドッグなどで胸部CTを行うことで胸部エックス線写真では指摘できないような早期の肺がんを発見でき、有用とされています。

肺がんの予防は容易ではありませんが、たばこを吸っている方は禁煙しましょう。禁煙を始めて10年後には禁煙しなかった場合と比べて肺がんになるリスクを約半分ほどに減らせることがわかっています。

肺がんのことでご相談のある方は、呼吸器内科や呼吸器外科で応対いたします。