沿革・特色・方針
福岡徳洲会病院の心臓血管外科は1988(昭和63)年8月に開設され、これまで約3800例の心臓・大血管手術を行ってきました。腹部大動脈や上肢・下肢のいわゆる末梢血管手術も合わせると、この32年間で延べ約8000人の方の手術治療を行ってきたことになります。
心臓・大血管手術では、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞等)に対する冠動脈バイパス術(当科では人工心肺や心停止を必要としない心拍動下冠動脈バイパス手術を基本術式としています)、心臓弁膜症に対する弁置換術や弁形成術、大動脈瘤や急性大動脈解離に対する人工血管置換術等、成人の心臓疾患全般にわたる手術治療を行っています。腹部・末梢血管手術においても、腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術、閉塞性動脈硬化症に対するバイパス術や内膜摘除等の血管形成術、透析治療が必要になった方への内シャント造設術等、血管疾患の幅広い外科治療を行っています。
徳洲会病院が24時間体制で救急医療に取り組んでいることから、急性大動脈解離や大動脈瘤破裂などの一刻を争う緊急手術が多いのも特徴です。2009年4月より、ステントグラフト内挿術(大動脈瘤に対し開腹や開胸することなく、カテーテルを用いて血管内より治療する方法)を開始し、これまで胸部・腹部合わせて260例以上施行してまいりました。開胸や開腹手術は困難な高齢の方や重篤な合併症を有する患者さまへの大動脈治療の可能性が広がりました。また、2018年4月から経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)を循環器内科と合同のハートチームで行っています。超高齢化社会の中、開胸不要なTAVIの需要はますます高まるものと思われます。
手術の質が外科医の腕に関わることは言うまでもありませんが、外科治療の成否は外科医の技量のみで決まるものではありません。外科医の細かな手技の積み重ねによって質の高い手術が完遂されるのと同様、入院~手術~退院までの間には各職種の連携がとても重要で、医師のみならず多くのスタッフが一丸となって治療にあたる必要があります。
心臓手術の成否はまさしくチームの総合力にかかっていると言えます。当院では手術室スタッフ、人工心肺を担当する臨床工学技師、放射線技師、生理検査技師など心臓外科治療にかかわる全ての部門のチームスタッフが24時間オンコール体制で待機し、手術に備えています。
福岡徳洲会病院心臓血管外科は、これまでの32年間の経験に加え、さらなるチーム力の向上をはかるべく、日々精進して参ります。