福岡徳洲会病院
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診療科・部門案内

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NICU(新生児集中治療室)

NICUについて

NICUとはNeonatal Intensive Care Unitの略で、新生児集中治療室の事をいいます。福岡徳洲会病院はNICU15床と、同フロア内に新生児センター12床の認可を受け、出生体重が2300gに満たない赤ちゃんや在胎週数が36週未満の赤ちゃん、出生直後から集中治療を必要とする赤ちゃんなど、入院して専門チームによる医療や看護が必要な赤ちゃんが入院しています。日本で生まれた赤ちゃんのうち4%程度にNICUへの入院が必要になると言われていますので、決してごく稀な事、というわけではありません。

地域周産期母子医療センターとして

周産期と呼ばれる分娩(出産)前後は、母体や赤ちゃんの命にかかわる突発的な事態が起こりやすい期間です。

そこで日本では産婦人科と新生児科が協力し、地域の診療所・病院のネットワークの中心として、専門的な医療を行う“周産期母子センター”の設備が進められました。全国に269施設、うち7病院が福岡県にあります。このうち福岡徳洲会病院は“地域周産期母子医療センター”として、NICUを有し、“比較的高度な周産期医療を提供できる医療機関”としての役割を果たしています。

産婦人科病棟では、ハイリスクの妊婦さんに対し、可能な限り母子ともに安全な分娩に努めます。産婦人科と新生児科は、毎日情報交換をし、リスクの高い分娩に対しては新生児科医が分娩に立会い、緊急時に備えています。

また、地域の診療所・病院でのハイリスク分娩の場合、ドクターズカー(医師・看護師が同乗した救急車)が病院より出動し、分娩に立ち合います。入院が必要と判断された場合は、移動式の保育器に収容してドクターズカーで当院へ赤ちゃんをお預かりし、治療に当たらせていただきます。

当院では対応できない病気(すぐに手術が必要な生まれつきの心臓や脳・脊髄の病気など)の場合でも、治療可能な病院への紹介・搬送を責任もって行います。「入院依頼は断らない」。これが、当院NICUの理念です。

当院NICUの目指すもの

開設当時より、「Intact Survival(後遺症なき生存)」を目標とし、新生児医療を行って参りました。
未熟児で生まれた赤ちゃんが、おなかにいるときの状態に近い状態にすることで、成長・発達を促すことができます。私たちはこのような環境の提供(ディベロップメンタルケアの提供)に力を入れ、照度調整・環境音調整を行ったり、赤ちゃんの体位の工夫を行っています。

ご家族への配慮としては、面会時間の延長や、祖父母面会、カンガルーケアの推進、母乳育児へのお手伝いなどを行っています。無事退院を迎え、ご両親のもとに赤ちゃんをお返しすることが私たちの最大の使命と感じると同時に、退院後のご両親の大変さ、成長していく赤ちゃんたちが乗り越えていかなければならないことを考えると、さらなる支援の必要性、大切さを痛感しております。頑張っておられるご両親・赤ちゃんのために私たちがやらなければいけないことは何なのか、考え続けていきたいと思います。

当院NICUのオリジナルロゴです。

入院中の赤ちゃんの環境について

早産で生まれた赤ちゃんに、おなかにいるときに近い状態を提供することで、成長・発達を促すことができると言われています。ポジショニング(体位の調整)を行い、保育器の上にカバーをかけ(照度調整)、モニターなどの環境音を最小限にする(環境音調整)などを行っています。

ポジショニング

胎内での赤ちゃんは、お母さんの子宮に守られています。丸くなるような体勢をとり、手足が伸びると子宮の壁に当たって、また丸い体勢に戻ります。このように、少し丸まったような体勢を取り、包まれた状態にすることで赤ちゃんは安心して過ごすことができます。タオルや専用のマットを使用して、赤ちゃんが安心して過ごすことができる体位が取れるようケアしています。

照度調整

36週未満の赤ちゃんには保育器カバーを使用します。当院の保育器カバーは防炎・防火で厚みのあるものをオリジナルで作成し使用しています。プーさんやダンボ、白雪姫など可愛いキャラクターで保育器を包んでいます。21時以降は消灯し、昼夜の区別がつくようにしています。

面会について

病院は14時から19時までの面会時間となっていますが、お仕事で遅くなるお父さんが赤ちゃんに会えないことが多かったので、NICU・新生児センターは21時までの面会となっています。ご家庭の事情で、面会時間での面会が難しいご両親には時間外面会も受けております。遠慮なく看護師にご相談ください。

※16時から17時は引継ぎ時間のため一時的に面会を中断させていただいています。ご了承ください。

祖父母面会について

赤ちゃんがNICUに入院したご両親の精神的負担の軽減・おじいちゃん、おばあちゃんにも赤ちゃんの成長をともに喜んでいただくことを目的に、祖父母面会を行っています。 注意点をご理解頂いたうえで一定時間ではありますが実施いたしております。 有意義な時間を過ごして頂けるようスタッフ一同願っております。

面会時間

  • 13:00~13:20
  • 13:20~13:40
  • 13:40~14:00

ひと家族ずつでお願いしています。

  • 出来るだけ来院時に御予約ください。予約後は予約カードを必ずお受け取り下さい。
  • 風邪症状のある方、及び同居されているご家族に風邪症状のある方は、マスクの着用をお願いします。
  • ケア・処置を優先とさせて頂きますのでご了承ください。
  • 面会時間は厳守頂けますよう、御協力お願いします。
  • 面会は1日1回、週1度となっております。予約日、時間をお問い合わせのうえ、ご来院下さい。

タッチケアについて

赤ちゃんは入院後、保育器で過ごすことになります。面会に来られたら、自由に赤ちゃんに触って、赤ちゃんのぬくもりを感じてください。泣いている赤ちゃんが、お父さん・お母さんに触れてもらうと落ち着いて気持ちよく眠ってくれる場面をよく見かけます。また、お腹の中で聞いていたお父さん・お母さんの声が聴こえると安心したような表情をします。いっぱい話しかけてあげてください。

カンガルーケアについて

お母さん・お父さんの胸に裸んぼうの赤ちゃんを包み込むように抱っこします。その姿がカンガルーに似ていることからカンガルーケアと呼ばれるようになりました。

カンガルーケアには赤ちゃんの呼吸が楽になったり、ぐっすり眠れたり、お母さんはおっぱいの出が良くなったり等の報告があります。なにより、赤ちゃんとのスキンシップがはかれ、親子の絆を深めることができます。

お母さん・お父さんの前ボタンをはずし、素肌にオムツだけをつけた赤ちゃんを約1時間程抱っこします。赤ちゃんのその時の状態に合わせて、場所・仕方・時間は替わることがあります。面会時に看護師にお尋ね下さい。

交換日記

NICUに入院となったご家族と赤ちゃんは、離れて過ごす時間が長くなってしまいます。離れている時間の赤ちゃんの様子を記載して、少しでもご両親にお伝えできればと思います。

担当の看護師を中心に、毎日の体重やミルクの量、面会中になかなか目をあけてくれない赤ちゃんのかわいい表情などを写真にとりノートに収めます。ご両親からは、赤ちゃんへのメッセージや、不安な事・心配な事を書いていただきます。

お兄ちゃん・お姉ちゃんが赤ちゃんへのメッセージを書いてくれることもあります。赤ちゃんの成長をご家族と一緒に喜べるNICUでありたいと思います。

母乳支援について

NICUにおける母乳育児の意義

赤ちゃんのために、お母さんだけにできること、母乳についてお話します。 母乳には、赤ちゃんの体を守るうえでとても大事な栄養・免疫が含まれています。メリットとして、お母さんには、子宮の回復を早める・産後ダイエット効果がある。乳がん・子宮体がん・卵巣がんになりにくい・経済的であると言われています。

赤ちゃんには、最高の栄養・アレルギーになりにくい・消化が良い・母児の愛着形成に良い・感染症にかかりにくい・脳やあごの発達を高める・便秘になりにくい・IQが人工乳児より高くなる・中耳炎を予防する・乳幼児突然死症候群予防・メタボリック・肥満・高血圧・高脂血症・糖尿病を予防すると言われており、赤ちゃんにとっていい事ばかりです。

特に予定日より早く生まれた赤ちゃん(早期産児)のお母さんの母乳は、正期産児の母乳とは成分が異なると言われます。胎盤を通じて与えられなかったものを、母乳を通して与えようとするからです。

搾乳

直接、赤ちゃんに母乳をあげられない場合は、搾乳をお願いしています。お母さんの食事や搾乳のタイミング、手搾りや電動搾乳器による搾乳方法など、お母さんに合った搾乳方法をご指導いたします。

面会中、赤ちゃんのそばにいることで母乳の出が良くなります。赤ちゃんのそばで、搾乳するお母さんも多くいらっしゃいます。その際、電動搾乳器をお貸しすることが出来ますので、お気軽にお声かけください。

出産後7~10日で(赤ちゃんが必要とする母乳の量と関係なく、)制限なしに最大限まで(目安750~1,000ml)搾乳することが、その後の母乳分泌を維持するために大切と言われています。出来る限りのサポートをさせていただきます。

口腔内母乳塗布

お口から母乳やミルクが飲めるようになるのは在胎週数36週が目安になります。それ以前の赤ちゃんたちに対し、お口から飲む練習を始めるまで、お父さん・お母さんが赤ちゃんに会いに来られた時、スキンシップのため、母乳を綿棒にしみこませてお口にふくませることが出来ます。

母乳は感染予防にも役立つと言われています。お母さんの母乳で、赤ちゃんを守ってあげましょう。ご希望の方は、看護師にお声かけください。

授乳室

退院指導について

直接授乳・沐浴

保育器から出て、コット(赤ちゃんベッド)に移ったら、直接おっぱいを吸わせることが出来ます。また、退院が近くなりましたら、沐浴の練習を行います。退院後に困らないよう、看護師が指導いたします。

予防接種

予定より早く生まれた赤ちゃんは、お母さんからもらう免疫が切れてしまうので、予定を立てて予防接種をうけましょう。退院時や検診時に、赤ちゃんに合ったスケジュールをご説明いたします。

退院後の保健指導

出生体重2500g未満で産まれた赤ちゃんや、長期入院となった赤ちゃんを対象に、地域の助産師や保健師と連絡を取り、訪問・保健指導などを行います。また、当院NICUでは、24時間電話相談を承っております。不安なこと、心配なことございましたら、いつでもご連絡ください。

外部サイト

* 福岡県で活動する1500g未満で生まれた赤ちゃんのための家族の会 *

Nっ子クラブ カンガルーの親子